「犬種標準」がどれだけ犬を苦しめているかご存じですか?

      2018/05/03

こんにちは!

カメムシの臭いに悩まされる犬になりたい犬ブロガーの瀧沢かいるーです。

うちのシェルティー(以下シェル太)が部屋に迷い込んだカメムシを食しました…おかげでシェル太が近くに来るたびにほのかにカメムシのにおいがします。

先日、犬ブログ仲間さんと、純血種の「犬種標準」について話しました。

皆さん、この「犬種標準」がどれだけ犬たちを苦しめているか知っていますか?

 

「犬種標準」とは

スタンダードと呼ばれるもので、各純血犬種の理想像を文章で書き表したものです。

つまり、繁殖をする時の理想像だということです。

ケンネルクラブが定めたもので、ケンネルクラブは「純血種を守る」役割を担っているということを覚えておいて下さい。

 

「改良」されてきた純血種たち

純血種の外見は、この100年ほどで大きく変わりました。

体重の割に足が細すぎたり、鼻がつぶれたり、脚が短すぎたり、短命だったり。

ショードッグはもはや犬らしく暮らすことが出来ないほどブリーダーにより「改良」されてきました。

ブリーダーたちは「ちょっと改良しただけ」と言いますが、犬たちはひどい障害に苦しんでいることもあるのです。

100年前の犬の姿

100年前のダックスフントは、今よりもずっと脚が長くて背中も自然な感じに丸みを帯びています。

ブルテリアはどちらかというと秋田犬のような頭も形で、あんなに不自然な卵形ではありません。

バセットハウンドは、皮膚のたるみもなく、脚ももっと長いのです。

 

パグは足長でスラッとしていた、首もちゃんとありますし、皮膚のたるみも少ないです。

現代のパグは鼻がつぶれているせいで呼吸困難を起こしやすく、巻き尾にするために脊椎に異常が生じやすく、しわの間には細菌が発生してただれやすいのです。

ジャーマンシェパードは「展示会系」のように腰が不自然に落ちておらず、現代の「訓練系」とほとんと変わりません(日本の訓練系シェパードはかなり腰が落ちている子が多いです)。

写真は「展示会系」のシェパードです。この子はまだマシなほうではないでしょうか。

展示会系の腰が落ちたタイプは、脚がふらついて歩けないほどの子もいて、「失調性歩行」と呼ばれる歩き方をします。専門学校で飼育されていたシェパードがそうで、ちょっと長く歩くとすぐに疲れてしまいました。

ショーに出ているジャーマンシェパードのほとんどが異常だということです。

しかし、ショーの審査員はこうした犬たちの方が「美しく正しい体型」だとするのですから、もはやクレイジーです。

これが犬種標準です。

こんなひどい状態を目指して繁殖させろというのですから呆れてしまいます。

人間の手を離れ野生化した犬は、6代ほどでどの犬も同じような姿になると言います。短く堅い被毛に、だいたいが茶系の色をしており、耳はぴんっと立って尻尾は巻き、顔は適度に細長く目は正面より少しずれている。和犬MIXと似たような外見、体型になるそうです。

つまりこれが犬本来の姿だということです。

その姿から考えると、今の「犬」たちの姿は奇形もいいところなのです。

 

ブリーダーにご注意

ジャパンケンネルクラブのHPを見ると、鼻はこうでないといけないだの、目はこうあることが好ましいだの、体の各パーツについて細かく定められています。

しかしそれらは犬の利益といったものを全く配慮していません

断耳や断尾がいい例です。

犬にとって必要な体のパーツだから、全ての犬に備わっているというのに、それを排除してしまうとは何事でしょうか。

ケンネルクラブは犬種標準を作って、ショーを開催してチャンピオンを作り出し、その子犬を高く売りつけます。

しかし、この犬種標準を作り出したのはそもそもブリーダーなのです。

もはや悪徳商法ではないでしょうか。

ローデシアンリッジバッグという犬種は、背中にリッジと呼ばれる逆毛があることが犬種標準になっています。

しかしそのせいで、脊椎破裂や類皮嚢腫という重篤な病気を発症しやすくなっています。

リッジがなければ防げる病気なのに、ブリーダーは改良に反対しているのです。

ジャパンケンネルクラブの犬種標準にもリッジの記載があります。リッジのない子犬はブリーダーによって殺処分されることもあるというのですから見逃せません。

繁殖をケンネルクラブやブリーダーに任せていたら、犬の健康なんて守れないのではないかという意見もあります。

血統書にもご注意

ケンネルクラブが発行する「血統書」にも注意が必要です。

両親、祖父母、曾祖父母などが記載されていますが、その記載通りに繁殖されたか確認する術がないのです。

また、近親交配という問題もあります。

イギリスケンネルクラブでは批判を受けて近親交配を禁止しましたが、日本では届け出れば可能なのです。それを隠すために血統書を偽造しているということもあります。

DNAのサンプルの提供が義務づけられればこの問題は解決するのですが、遺伝病チェック目的でも拒否するブリーダーがいるのは何故なのでしょうか。

また別の問題ですが、近親交配を禁止しても遺伝子プールが小さいという問題はすぐには解決しません。

例えばイギリスでは細菌の6世代だけでもゴールデンレトリバーにかつてあった遺伝子多様性の90%が失われてしまいました。

また戦時中などに一時期頭数が激減し、秋田犬やコーイケルホンディエのように十数頭から再繁殖が始まったという犬種もいます。

輸入犬種では、最初に輸入した数頭の犬の子孫である可能性が高いのです。

そのため、国内での限られた個体同士で繁殖させていると、遺伝病のリスクが高くなります。

純血種でのブリーディングをやめない限りは、遺伝病の問題も解決しないと言えるでしょう。

「ミックス犬」は健康?

はやりのミックス犬、チワプーとかチワックスとか、ゴールデンドゥードゥールなどは「遺伝病のリスクが少ない健康な犬」を売りにしています。

しかし、繁殖に使われる犬たちの遺伝病検査をしていなければこの看板文句もウソになります。

チワワやプードルなど小型犬はだいたい同じ遺伝病を抱えています。膝蓋骨脱臼や頭のペコなどがそうです。

同じ遺伝病を持つ異なる犬種同士を交配させても「健康」な子犬は産まれないのです。

しかし、遺伝病を持っていてもショーに出ることは出来ますし、優勝することも出来ます。こういう遺伝病を持った犬は繁殖には使わないって当たり前のことだと思うのですが、ショーで優勝した犬を繁殖に使うブリーダーは多くいます。

高く売れるので、当たり前ですね。

何を「保存」するのか?

日本には「日本犬保存会」というものがあります。

わたしが動物病院で研修していた時のことなのですが、とある日本犬の飼い主さんが去勢の相談に来ました。

その犬は日本犬保存会から入手した犬で、保存会の人からその犬種の頭数を増やしたいから去勢するなと言われたそうです。

しかしその犬には停留睾丸という遺伝性疾患があり、なおかつ性格に難ありでした。

それをわかっていて繁殖をすすめるのでしょうか。

不健康な個体の遺伝子を次世代に残すことに何の意味があるのでしょう。

いったい何を「保存」するつもりなのでしょうか。

 

純血種の飼い主さんへ

今回、犬種標準について調べたり聞いたりした中で、わたしは犬種標準の見直しが必要なのではないかと強く感じました。

犬に苦痛を与えるような外見を標準なんかにするべきではないのです。

そのためには、一般飼い主さんも声を上げましょう。

ダックスフントやコーギーなど、胴長短足犬種の多くはヘルニアに苦しみます。

ハグやブルドッグなど鼻がつぶれた犬は、鼻腔をふさいでしまい呼吸が出来なくなり、やむなく手術で鼻腔を広げることもあります。

そういう愛犬の姿を見て、何か思うことがないですか?

犬が苦痛を感じることなく、犬らしく暮らすにはどうすればいいのかを考えてあげて下さい。

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