お散歩会で社会化は出来ない!
こんにちは!
犬になりたい犬育ブロガーの瀧沢かいるーです。
今日は、お散歩会に参加して愛犬を社会化させようとすることの危険性についてです。
先日、無料メール相談を休止する前からご相談を受けている飼い主さんから、
「知人の飼い主さんからお散歩会に誘われたんだけど、愛犬の社会化のために行った方がいいのでしょうか」
といった質問をされました。
お散歩会、いわゆる複数の飼い主さんと犬が集まっての合同トレーニングは、他の犬がちょっと苦手な犬、社会化不足の犬たちを集めて、一緒に簡単なトレーニングをしたりお散歩したりしながら社会化を促進しようというものです。
ドッグスクールのオプションになっていたり、各地でトレーナー主催のお散歩会が行われていることもあります。
わたしは、こういった複数の飼い主と犬が集まって行う合同トレーニングや、パピークラスなどはおすすめしていません。
友人同士の飼い主さんが集まって一緒に愛犬のお散歩をするというのも、やめてもらうようにしています。
なぜなら、こういったお散歩会は犬の社会化のためにはならないからです。
社会化不足の犬を、他の犬がたくさん集まるような場所に連れて行っても、連れて行くだけでは社会化にはなりません。
そこで今回は、お散歩会で社会化をしようとすることの危険性について詳しくお話します。
社会化のためにお散歩会に行ってみようと思っている飼い主さん、実際に行ってみたけどイマイチ効果が感じられないという飼い主さん、ぜひ読んでみて下さい。
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お散歩会が「危険」な理由
社会化不足の犬が集まって、みんなで楽しくお散歩やトレーニングをしながら社会化をしましょう。
そんなことを目的に開かれるお散歩会や合同トレーニングがいつの間にやら増えてきました。
「愛犬が社会化不足」という同じ悩みを抱えた飼い主さん同士、周りがよくしつけされた犬と飼い主ばかりの合同トレーニングよりも行きやすいという方もいます。
確かに、合同トレーニングで自分の愛犬が落ち着かなくて吠えてしまったり、他の犬に突進したりなど、進行を妨害するようなことをしてしまうと、いたたまれなくて申し訳なくなるという飼い主さんは多いでしょう。
その点、同じ悩みを抱えた飼い主さんばかりだと少し気も楽になるのかもしれません。
悩みを相談し合えたり、うちの場合はこうしているよなど情報交換も出来て、飼い主さんにとっては有意義な時間にもなりますよね。
では犬は?
社会化不足の犬が5頭も6頭も同じ場所に集まって、何も問題はないのでしょうか?
飼い主さんにとっては一見、いいこと尽くしのように見えますが、実は犬にとってはたくさんの問題があるんです。
集まる犬はみんな「社会化不足」の犬
わたしも学生の頃、トレーナー講師主催のお散歩会(合同トレーニング)のお手伝いに行ったことがあるんですが、まあ大変でした。
社会化を目的としたお散歩会にやって来るのは、当たり前ですがみんな程度はどうあれ、社会化不足の犬たちなんです。
考えてみれば、社会化不足の犬が同じ場所に集まるのですから、トラブルが起きないわけがありません。
お散歩会に限らず、パピークラスや犬同伴のセミナー、ドッグランなど、狭い場所に複数の犬が集まるということ自体が問題なのです。
社会化不足でカーミングシグナルも出せない状態の中、お散歩会に参加した犬たちはみんな興奮してストレススマイルを浮かべ、すぐ隣の犬に突進しようとしたり、飼い主さんの後ろに隠れて尻尾を巻いていたり、ずーーーっと片手を上げて硬直してしまっている子ばかりでした。
実際に歩いてみるとグイグイ引っ張っている子がほとんどだし、飼い主さんはトレーナーの指示に従って自分のすぐ横を歩かせようとリードを引っ張り返すものだからますます興奮させてしまっていました。
隣同士の子のケンカや小競り合いはしょっちゅうでした。
セッションの間中、犬たちはみんな落ち着かないでソワソワしていたし、今考えれば社会化なんて出来る状態ではなかったなと感じます。
狭い部屋でなくても、一か所に多くの犬が集まると、犬同士の適切な距離が保てなくなります。
この距離の問題は、お散歩会に限らずパピークラスや犬同伴のセミナー、ドッグランでも起こることです。
半径10m以内に犬が5頭もいれば多すぎるのに、時には6頭以上もの犬がお散歩会に参加しています。
どれくらいの範囲にどれくらいの犬がいれば多すぎるのかは、犬のカーミングシグナルを見ればわかります。
舌をペロペロしていないか、床のにおいをしきりに嗅いでいないか、体を掻きむしったりブルブル震わせていないか、欠伸を頻繁にしていないかなどを見てあげましょう。
犬によって他の犬との適切な距離は違いますが、全体的に見て犬たちがソワソワして落ち着きがなければ、その場所にいる犬の数が多すぎるということです。
そんな状態では喧嘩が起こりやすくなりますし、社会化どころではありません。
実際に、社会化のためにお散歩会に参加したのに、結果的に犬が更に苦手になったという子は多いです。
スタッフの人数が少なすぎる
一度のお散歩会に集まる犬の数は、だいたい5、6頭、多いと10頭くらいが集まります。
それに対し、スタッフの人数はトレーナーを入れても2人か3人くらいです。
多いと30頭近くの犬が集まることもありますが、それでも10人くらいのスタッフしか付き添っていません。
一人のスタッフがしっかり見ていられる犬の頭数は1頭、せいぜい2頭でしょう。
1頭の犬につき2人のスタッフが必要なこともあります。
要するに、犬の数に対してスタッフの人数が少なすぎるのです。
これでは喧嘩を防ぐどころか、起こってもすぐに対処することも出来ません。
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「社会化」は正しい手順を踏んで
オーストラリアに研修に行った時、日本のお散歩会とは全く違うものでしたが、一見似たようなセッションを見学したことがあります。
そこでは、犬1頭につき飼い主とトレーナーが1名、多いと2名付き添って、別のグループと100mくらいの距離を保ちながら、それぞれロングリードでゆっくり散歩するというものです。
そのトレーニング施設の代表トレーナーが、トゥーリッド・ルーガス氏に感銘を受けていた人だったので、散歩の仕方はわたしもまったり散歩と近いものがありました。
他の犬の姿は遠くのほうにたまにチラッと見えることがある程度で、基本的には残り香があるくらいです。
なので、他の犬と見るとわき目も降らずに突進して行くという犬でも、姿が見えた時にぴくっと反応することはあっても、それを見たトレーナーが少し待って距離をとるよう指示を出してくれるので、落ち着いて散歩が出来ていました。
これを、代表トレーナーはソーシャルウォークと呼んでいました。
社会化不足の犬は、いきなりたくさんの犬と一緒にお散歩を始めるのではなく、これくらいのところから始めて正しい手順を踏んで社会化しなければならないのです。
これと同じことを日本でやろうとすると、スタッフも場所も不足している状態なのです。
「社会化」のゴールとは
そもそも社会化というのは、たくさんの犬が周りにいる状態に慣れること、どんな犬とも仲良く出来るようになることだと勘違いしている飼い主さんが多いです。
もちろんそれも大事なのですがそれだけではなく、相手のシグナルを読めるようになること、自分でシグナルを出せるようになることが重要です。
犬を見たら突進して行くというような犬の場合は、オーストラリアでやっていたように、まず残り香や気配から慣らしていきます。
次に遠くから姿を見せて、それから少しずつ距離を縮めていくのです。
ある程度接近しても大丈夫になってきたら、次に犬語をマスターしないといけません。
トゥーリッド・ルーガス氏によれば、犬語の学習はオフリード(リードをしていない状態)で行われます。
リードをつけた状態で自分の意思で十分な距離を取ることが出来ない状態では、シグナルが正しく伝えられないということです。
なので、自宅の庭などでリードを外した状態で行うのが望ましいです。
その時に必要不可欠になるのでシグナルが上手に出せる、十分に社会化された犬です。
これがなかなか日本では見つけるのが難しかったりするのですが、運よく見つけられたら、十分な距離を取って山道や河原などを一緒に散歩し、相手の犬のにおいや気配を覚えさせた上で対面させると上手くいきます。
十分な距離というのは、オーストラリアでやっていたように、姿が遠くの方にたまに見える程度の距離、およそ100mくらいです。
また、社会化というものをどんな犬とでも仲良く出来ることだと思っている人もいますが、社会化のゴールはそこではありません。
まったり犬育が考える社会化とは、その場にいる犬がみんなマナー良く過ごすことが出来るということではありません。
犬が自分で考えて、相手の犬と適切な距離を取って過ごすことが出来るようになることを目指しています。
自分で考えて正しい判断が出来るように育てることがまったり犬育なのです。
飼い主さんがおやつやリードやコマンドや合図などでコントロールするのではなく、犬自身が他の犬から犬とのコミュニケーション手段を学ぶことによって、他の犬と上手く付き合えるようになるのです。
これがまったり犬育が目指す「社会化」のゴールです。
- 飼い主さんが犬に求めがちな「みんな仲良く」の弊害についてはコチラの記事「「誰とでも仲良く」って必要ですか?」と「犬に「友達と仲良く」を強要してませんか?」にお話しています。
- また、パピークラスでする社会化の欠点についてもコチラの記事「パピークラスでする子犬の社会化の欠点」にて詳しくお話していますので、合わせてお読み下さい。
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♪おまけ
最近、のんちゃんこのブランケットがお気に入りです。
実家トイプーのベッド替わりなんですけど、裏起毛みたいにふわふわモフモフしてるのがお好みみたい。
今までストーブの前なんて陣取ったことないのに、このブランケットをおいてからはよくここで寝てます。
(我が家地方、まだ朝は肌寒いのでストーブが出ております…)
こういうの見ると、つい「同じようなの買ってあげよっかな~」って思っちゃいますね。
甘やかしちゃいますよね~。
飼い主あるあるだと思いますがみなさんいかがでしょう。
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