犬の「繁殖」に関心を持とう~後編~

犬の「繁殖」にもっと関心を持って下さい。

こんにちは!

犬になりたい犬育ブロガーの瀧沢かいるーです。

今日は雨が降ったりやんだり…変な天気でした。

これくらいの雨なら犬たちは気にせず散歩に行くのですが、
小雨でも散歩中に見かける犬は少なくなりますね。

ちょっとの雨でも、降っていたら散歩には行かないという飼い主さんが多いんです。

「うちの子は濡れるの嫌がるかな~」と言っている飼い主さん、
ほんとは自分が雨の中行くのが嫌なんですよね?
犬を言い訳の道具にしているのを見ると本当に腹が立ちます。

シャンプーは嫌いでも、雨は気にしないという犬は意外と多いんです。
レトリバー系ならむしろ雨の方が張り切って散歩に行くでしょう。

犬の散歩は、飼い主が行きたいか行きたくないかではなく、
犬が行きたがっているかどうか、なのです。

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昨日の記事犬の「繁殖」に関心を持とう~前編~では、人間の手による非人道的な繁殖で、純血犬種に遺伝性疾患が増えているという
現状を告発したイギリスBBC制作のドキュメンタリー番組「犬たちの悲鳴」について取り上げました。

今回はその続きです。

番組で紹介されている、遺伝性疾患に苦しむ犬たちについて紹介したいと思います。

 

遺伝病に苦しむ犬たち

まずはケンネルクラブについておさらいです。

ケンネルクラブは、犬を取り巻く環境の向上を目的とする組織とされています。

主な活動内容は純血種の血統の登録、管理やドッグショーの開催などです。

各犬種クラブを運営し、ケンネルクラブの規約を定めているのはブリーダーたちです。

なので、犬の利益になるような改革はこれからも恐らく進まないだろうというのが現状です。

脊髄空洞症のキャバリア

番組が制作されたイギリスではキャバリア・キングチャールズ・スパニエルが人気です。

しかし、この犬種にも恐ろしい遺伝病が蔓延しています。

この犬種の飼い主が、愛犬の異変に気づきました。

脳に対して頭蓋骨が小さすぎることで発症する病気、脊髄空洞症を患っていたのです。

次第に神経が傷ついていき、症状が進むと首輪をつけただけでものたうち回るほどの激痛が走るといいます。

ある獣医師によれば、キャバリアの3分の1は症状の程度に関わらず、
この病気を患っているといいます。

軽症な場合も多いのですが、重症化すると激痛に見舞われます。

絶叫しながらのたうち回る様子を見ていればその苦しみがよくわかりますし、
そんな愛犬の様子を見ているしか出来ない飼い主の苦しみは計り知れません。

番組で紹介されたキャバリアは苦痛が大きいので安楽死させられました。
脳外科手術が行われることもありますが、成功するとは限りません。

キャバリアの脊髄空洞症に対処するため、イギリス獣医師会とケンネルクラブは
MRI検査制度を導入しました。

しかし、これに反対する有力ブリーダーは、検査結果の公表を拒否しています。

キャバリアの7割が6歳までに脊髄空洞症と診断される可能性があると言います。

更にキャバリアの半数は、5歳までに心臓に雑音が入り、10歳を超えるとほぼ全ての犬に
雑音が認められるといいます。

これは50年代、60年代に心疾患のある犬が繁殖に使われたことが原因ではないかと言われています。

人気が高い犬種はたくさんの子犬を作るため、その犬に遺伝性疾患があった場合病気は一気に広まります。

現状のままではキャバリアの繁殖を続けることは、道徳的に許されないという意見もあります。

現在のキャバリアの姿が作られたのは1920年代なので、100年もかからずに
キャバリアは絶滅する可能性があるのです。

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若年性腎疾患のボクサー

また、番組で取り上げられたボクサーは若年性腎疾患とされ、
余命1年と宣告されます。

発見が早かったため余命宣告を超えて生き続けましたが、2歳にして壮絶な最期を迎えました。

若年性腎疾患はどの犬種でも見られるものですが、腹違いの妹も同じ病気であることがわかりました。

父犬の他の子どもにも同じ病気が認められます。

ブリーダーはこの父犬で894匹もの子犬を作っていたので、遺伝学者に調査を依頼しました。

すると、遺伝疾患(劣性遺伝)であることがわかります。

血縁が濃ければ濃いほど病気が発症しやすくなるのですが、このボクサーは血縁で交配が行われていました。
父犬が自分の娘と交配して最初の子が生まれたのです。

遺伝学者は、若年性腎疾患の犬30頭に対して調査を行い、その全ての濃い血縁関係にあることがわかりました。
しかも、半数近いケースでさっきの父犬が関わっていたのです。

頻繁に種犬として使われると、問題の遺伝子が全国に広まります。

この父犬の所有者はトップブリーダーでケンネルクラブの審査員、犬種評議会(ボクサーの犬種を改良し
守るために作られた団体)の会長を務めていました。

ところが所有者は遺伝学者の話を聞こうともしません。

父犬が出た犬舎からも若年性腎疾患が見つかっています。

犬種評議会は遺伝学者の言い分を認め、研究の全面支援と血液サンプルの提供を
飼い主とブリーダーに呼びかけました。

ブリーダーには近親交配を避けるように訴えましたが、犬種評議会のHPには、
若年性腎疾患の情報は載っていないのです。

一部の飼い主やブリーダーは血液サンプルを提供しましたが、この父犬の所有者は提供しておらず、
濃い血縁同士での交配を続けています。

本人は否定していますが、若年性腎疾患が指摘されている犬たちも繁殖に使っているという証言があります。

この事例は、いかに短期間で犬種の間に遺伝性疾患が広まるかを示しています。

ポインターの血が入ったダルメシアン

キャバリア、ボクサーの事例を紹介しましたが、ダルメシアンの場合はまだ間に合うかもしれません。

というのは、ケンネルクラブがイングリッシュポインターの血が入った犬を、
ダルメシアンとして認定したからです。

1973年、アメリカのボブ・シェイブル博士が、ダルメシアンが失った遺伝子を取り戻すため、
ポインターと交配させたのです。
ダルメシアンの特徴である斑点模様を美しくする過程で、尿酸値を正常化する遺伝子が失われたからです。

こうして生まれた犬とダルメシアンとの交配を繰り返し、数世代後に外見はダルメシアンで、
尿酸値も正常な犬を作り出すことに成功しました。

尿酸値が高いと結石が出来やすくなり、尿路に詰まって膀胱が破裂すると命を落としかねません。

結石で苦しむことがない犬を歓迎しないはずはないのに、イギリスのダルメシアンクラブは、
その犬の輸入に反対したのです。

しかしケンネルクラブはこの犬をダルメシアンとして登録しました。

ダルメシアンクラブは今も反対を続けています。

このように行動を起こしてくれるブリーダーはほんの少数です。
犬種クラブはブリーダーに強い影響力を持ちます。
そのため、改革派は犬種クラブから排除されてしまうのです。

 

犬のための改革を

3つの事例を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

こんなことをしていると、わたしたちの最愛の友である犬は遠くない未来に滅びてしまうのかもしれません。

近親交配に規制を

番組放送後、ケンネルクラブはジェネティクスセンターを設立しました。
ここではブリーダーが遺伝性疾患を回避出来るように、新しい遺伝子検査の方法が開発されています。

「メイト・セレクト」というオンラインツールも開発されました。
これを使えば、個々の犬の健康診断の結果や、近親交配の程度を調べることが出来ます。

またブリーダーはメイト・セレクトで近親交配係数COIを調べることも出来ます。

父と娘の交配で生まれるCOIは25%。
これは禁止されている数値ですが、この値を遙かに上回る数値の犬が
ケンネルクラブには登録されています。

この原因は近親交配の累積にあります。

親子兄弟での交配を禁止すればダメージは軽くなりますが、実際にはいとこ同士での交配も
同じくらい危険なものです。

イギリスケンネルクラブは規制ではなく啓発によって状況を改善しようとしているので、
いまだに近親交配係数の上限を定めていないのが現状です。

一方、スウェーデンでは近親交配係数の規制が効果を上げています。

COIが6.25を超えるボクサーは2014年からの4年間で1匹も生まれていないのです。

他の多くの犬種についても同様です。

スウェーデンでは人気のある種犬の使用にも制限を設けています。

ドッグショーに改革を

ドッグショーはいくつかの犬種の体型をここ100年で劇的に変えてきました。

ダックス、ブルテリア、ブルドッグなどが最たるものです。

繁殖によって形を歪め、正常な能力を奪い、病気になりやすい動物を生み出すなんて
とんでもないことです。

しかもそのことにすっかり鈍感になり、罪の意識もありません。
常軌を逸しているのです。

ケンネルクラブは78犬種の犬種標準を改定しました。

しかしドッグショーを見る限り、変化が起きているとは思えません。

不自然な姿の犬を入賞させないよう、審査員を教育することも重要です。

15犬種で獣医による検診が義務づけられたとはいえ、犬種標準を見直して、
犬たちを本来の姿に戻すことが必要です。

ブルドッグなら鼻の長いタイプはすでに存在しているので、それを犬種標準にするとか。

だセットハウンドも、ショータイプではなく作業タイプは以前の姿に近いものがあります。

作業犬のナポリタン・マスティフもショータイプにある皺がありません。

ケンネルクラブはパグの犬種標準を改定しましたが、ドッグショーに登場するのは以前と同じ姿のパグです。

呼吸困難に苦しむとあるパグは、気道閉塞、軟口蓋過長、欠歯、皮膚疾患なども抱えています。

ぺしゃんこの顔を作るために、人間はパグの体温調節機能を奪いました。

しかし、多くの飼い主は犬が苦しんでいるということに気づいていません。
呼吸するたびにガーガーいう短頭種の犬はよくいますが、「そんなもん」だという認識なのです。

パグの皺の間には菌が繁殖しますが、飼い主が毎日これをきれいにしようとするのは難しいものがあります。
パグが痛がるのです。

本来犬に備わっている機能を取り戻すのに、2時間もの手術が必要になります。
獣医はブリーダーが作り出したこういう犬種の修復屋になりつつあります。

ここまで犬の姿を変えるのは論理的に許されていない。

パグやブルドッグのような犬の繁殖は、今すぐやめるべきだと呼吸器外科の獣医は言います。

短頭種のブリーダーは健康な犬を繁殖うすることが出来ないということは、世界で立証されています。

 

まずは関心を持つことから始めよう

まともに走れない犬や、満足に呼吸も出来ない犬を作り出した罪を、
ケンネルクラブはなぜ容認するのでしょうか。

犬の利益を守ろうとする一方で、ブリーダーの言い分にも配慮する。
この両者はしばしば利害が対立しますが、そこで犠牲になるのは他でもない犬なのです。

ケンネルクラブに任せていては問題なんていつまでたっても解決しません。

政府の支援を受けながら純血種だけでなく全ての犬の登録料で運営する、
全く新しい施設が必要なのではないでしょうか。

飼い主にも行き過ぎた繁殖で苦しむ犬を作るブリーダーたちに「ノー」を突きつける責任があるのです。

まずは関心を持つことから始めましょう。

▼合わせて読みたい
「犬種標準」がどれだけ犬を苦しめているかご存じですか?
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おまけ

ふと、るーこが頭に何かくっつけてるなーと思って見たら…

るーこは時々こういうことして笑わせてくれるw

全然嫌がってなかったけど、気づいてなかった…?
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2 Comments

カイル母

勉強になります。   
こういった情報がどんどん広がるといいのにと思います。
ところで、競走馬であるサラブレットのはじまりは3頭であると言われています。
現在、走っているサラは、この3頭の子孫であるわけです。
こういう子孫たちは近親交配とは言わないのか、ちょっと不思議に思っています。

先日、動物病院に薬をもらいに行ったときに、
1kgちょいのミニチュアダックス・パピーを連れているご夫婦がいらっしゃいました。
やっぱりケージ飼いをされているそうで、
「ケージから出して一緒に寝てあげる方が良い子に育ちますよ~。」と
ドキドキしながら言ってみました(笑)。

みんな、幸せになれると良いですね。

返信する
kairu-52677

カイル母さま

コメントありがとうございます。
お返事遅くなって申し訳ありません。

なかなか犬の繁殖のことにまで興味を持って、自分で勉強してくれる飼い主さんは少ないですね。
馬のことについてはあまり詳しくないのですが、やはりサラブレッドももともとの遺伝子プールが狭いため、
虚弱な子が生まれたり、奇形の子が生まれたりというのはあるようですね。
競走馬として走っている馬にも、見かけは特に異常はないように見えるけど、
実は脚に先天性の痛みを抱えて走っていたりということがあるようです。
歴史が長いと血が薄くなることのあるようですが、それでも3頭から始まったという
遺伝子プールの狭さは影響あるでしょうね。

ドキドキしながらの一言が犬たちを救うことってけっこうあるんです。
わたしもドキドキしながら言ったことがきっかけで、
近所のミックス犬の飼育環境が随分改善されました。
これからもドキドキしながらのおせっかいを続けていこうと思います。

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